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「ふふふ…はは、あはははははは!」
びっくりした。私はこんなにも大きな声で笑えたのか。自分のことを、私は知らなかったようだ。
私は気さくな人間では無かったから、周囲の彼等は特別驚いている。それもそうだ。私は人前で高らかに笑ったことなど、一度として無い。
「ははは、…ふふっ、あはは!」
あぁ、何故私はこんなにもおかしいのだっけ…。笑い出した理由が思い出せず、笑いながら苦悶した。(でも笑いながら悩むなんて、なんとおかしいことだろう)(あ、駄目)(それがおかしくて、ますます笑ってしまう)
比較的仲の良い知人が、私に近寄ってきた。次の行動が予想出来てしまう…いけないわ、話しかけないで!
「…ねぇ、…大丈夫?」
「っ、くくくく…いやっ、はははははは!」
「っ!?」
やっぱり言ったわね。何が大丈夫?かしら。端から見たら気違いの様な私が、大丈夫だと思う?
あー、おかしい。もう駄目ね。全てがおかしくて笑ってしまう!
彼等は大きくのけ反って、顔を歪めた。これが俗にゆうドンビキ、ね。成る程、言葉と合っている。
空気はおかしい。それはとてもおかしい空気で、普通に生活したら絶対味わえないもの。私には新鮮で、それゆえに気分がさらに向上していく。
「あー駄目、…はは…あーっ、…はは…」
段々、笑いがおさまってきた。
さぁ、少し冷静になったろう。どうして笑い出したのか、思い出さなくては…。
まだ息が弾む中、視線を下に泳がせた。私はこうすると頭が一気に冷えてゆくのだ。…うん、嫌悪さえ感じる。そろそろ正常に戻ったようだ。
何故、笑っただろう。
答えは早々に浮かばず、一人顔を歪ませて考える。周囲の空気は以前おかしいまま、…自分で作ったとはいえ、いたたまれない。
えーと、何故、何故。
「…キモ」
あ。
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