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   一通り落ち着いてから私は受話器を取った。かける先は職場。今日の仕事を休む旨を伝える為だ。このコンディションならば当然だろう。  コールが三回鳴り、相手口の受話器が外される音。次いで聞こえてくるのはお決まりの台詞。 「お電話ありがとうございます。こちら『@ HEAVEN TIMES』諸羽支部店、ニシザワでございます」  早口ながらも淀みなく発せられる澄んだ声。電話越しでも笑顔であることが伝わるのは、ニシザワさんだからこそ為せる業。ニシザワさんは電話対応のプロフェッショナルだ。  私は早速休む旨を伝える。しかし、間髪入れずに返って来た台詞は、 「いいから来い。さもなくば死ね」  そして電話回線は切断された。電話越しでも笑顔であることが伝わるのは、ニシザワさんだからこそ為せる業。ニシザワさんは電話対応のプロフェッショナルなのだ。  私は軽い目眩を覚えながらも、急いで出勤の支度を始めた。  
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