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   外に出ると景色は何故か冬だった。あえて『何故か』を付けたのには理由がある。昨日は夏だったからだ。  灼熱の魅せた蜃気楼は深深と積もる雪となり、耳障りな程であった蝉の声も消え、今では耳が痛い程の無音世界と化している。  この国の天気はいつも気まぐれだ。ここに来てもう四五年は経つが、未だこれには馴れない。  馴れないといえば……。  景色の奥に目を凝らす。雪に霞んだ大気の先に薄れて見えるのは、そびえ立つ超巨大観覧車。山をも凌ぐその馬鹿でかさを見ると、正直、造った奴も馬鹿なんじゃないかと思う。  その手前に見える建物はレンガ造りだったり、テントだったり、超高層ビルだったりと、様々な様式で建てられたものばかりで統一性がない。イグルーまである。  この国の特色と言ってしまえばそれまでなのだが、私には異なる文化がそれぞれ自己主張をしているような、お互いがお互いの文化を牽制し合っているような光景に見えてしまい、どうにも据わりが悪いのである。この街並みにも馴れない。  恐らくそんな風に考えるのは私ぐらいなものなのだろうが、乙女座のA型なのだから仕方がない。  要するに根が細かいのだ。  
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