人間の脅威

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サラは帰り道もわからないためとりあえずついていくことにした。 ミミは細い塀の上もスイスイ突き進んでいく。サラは歩いたこともない道に戸惑いながらも必死についていく。 【あんたちゃんとついて来れる?】 [なんとか] サラが家から家の塀へ飛び移ろうとする時、庭からキラっと光るものが眼に入りバランスを崩した。 【ちょっと大丈夫?】 [うん。なんか庭から光るものがみえて] 【ああ、あれでしょ?】 ミミは庭に置いてある水のたくさん入ったペットボトルの容器を指差した。 [何あれ?] 【ネコよけの水よ。あんなの単なる猫だましだわ。あんなの引っかかるのあんたくらいよ】 そう言って笑うとミミはまた歩き始めた。 [あ、待って] しばらく歩くと見たことのある風景が広がる。この道にでるんだとサラが感心していると 【ちょっと待ってて】 ミミは塀から下へ降りるとまた魚屋へと向かい、店先に並んでいる魚を一つくわえて戻ってきた。 【さ、行きましょ】 そのあまりの機敏な動きにまたサラが感心していると、また魚屋の店主が猫に気づき大声をあげた。二人は急いでその場を後にする。 [ねえ、さっきの魚屋の人怒ってたけど、魚もらってよかったの?] 【いいのよ。人間なんて魚以外にも食べるものい~っぱいあるんだから】 [ん~] サラはあまり納得のいかない様子だった。そこからまた歩くと大きな通りへ出た。そこは車通りが激しく猫が渡るのはあまりにも過酷だった。 [ここはなに?] 【ここは墓場って呼ばれてるの。ここで命を落とした仲間はたくさんいるわ。みんな人間のせいで】 [人間のせい?この車ってなに?] 【人間が楽するための乗り物よ。私も昔乗ったことあるけど、乗り心地は最悪よ。これに仲間が今までたくさん跳ねられてきたの・・・】 [人間がそんなこと・・・] 【さ、今よ!ついてきなさい!】
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