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ミミが、車の数が若干減ったところを見計らって道路に飛び出した。あわてて飛びだしたサラは少し遅れ、車がすぐ横まで来ていた。夢中で車の隙間を抜けていく。しかし間に合わず車が何台も急ブレーキをかけ、サラはギリギリで引かれずにすんだ。
[はぁはぁ・・・]
【何やってんのよあんた!死にたいの?】
[びっくりした]
【人間の恐ろしさがわかったでしょ。さ、行くわよ】
続いて向かった先は河川沿いにある大きな工場だ。
[くさい!なんだここは!?]
【工場よ。人間が贅沢するためにつくられたもの。くさいのも全部ここが原因よ】
[ダメだ。くさくて鼻が曲がっちゃうよ]
【あの煙突みえる?あそこからでる煙で空気が汚れて、ゴミを流して川まで汚しているのよ。あたしたちの住む場所も、飲む水も、ああやって汚されているの】
[そうだったんだ。人間て・・なんか勝手だね・・・]
ミミがその場を後にすると、サラの寂しそうな後ろ姿はその濁った景色へと消えていった。
次に向かった先はサラが捨てられていた場所と似たような河川敷だった。ミミが大きな鳴き声で鳴くとサラよりも小さな猫たちがたくさんでてきた。
[子ネコだ。どうしてこんなにたくさん・・・]
【ここにいる子ネコたちはみんな人間に捨てられたのよ】
[え?]
【子ネコだけじゃないわ。大きなネコも年老いたネコもここにはたくさんのネコが捨てられていくの】
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