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サラは子猫とじゃれながら悲しみを覚える。ミミは、さっき魚屋で取ってきた魚の残りを子猫たちに与える。
[この子たちはどうなっちゃうの?]
【自分で考えなさい。あたしに聞かないで!】
サラは下を向く。
【ただひとつ言えることは、生きるか死ぬかなんて人間次第。この子たちに生きる決定権はないの。かわいがるだけかわいがって、いらなくなったり、都合が悪くなったらこうやって捨てていくのよ】
ミミが憎しみをこめて訴える。
【人間がどういう生き物かあなたもわかった?】
[うん・・・]
自分も捨てられた猫であったが、サラは人間を信じたい気持ちと見せつけられた現実の中で葛藤していた。子猫たちは何も知らずにじゃれてくるばかりだった。
【今日はうちに来なよ。疲れたでしょ?新しく家族になった主人と子供がいるの。あなたにも会わせてあげるわ。食べ物も出してあげるから】
[ほんとう?でも生魚は嫌だよ]
【生魚が嫌いなネコなんてほんと珍しいわね。大丈夫よ、違う食べ物もたくさんあるんだから】
ミミは家族の話をし始めると急に上機嫌になり、棲みかのある森へと向かった。
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