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サラの目に飛び込んできたものは、サトシの父親の姿であった。大型車を運転し工事している者、ミミの棲みかを侵し、小さな命を奪った者が、自分が飼われている家の父親であったのだ。暗闇でもはっきりと見えるその自分の目を今日ばかりは憎んだ。
[まさか、そんな・・・]
【知ってるの?】
[うちの・・・、サトシくんのお父さんだよ・・・]
【そんな・・・】
サラは走ってその場を去っていく。
【サラ!!】
2人の猫は一夜にして人生最大の悲しみを味わうこととなった。その日の夜は皮肉にも星がキレイで人間のしてきたことすべてが肯定されているような気がして、やるせない気持ちでいっぱいだった。希望を失い、輝く星を通り越して、見えていたのはその奥に潜む暗闇だけであった。
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