「ぼくとピアノとねこ」

サラとピアノ

あまり乗り切らない表情でピアノに向かい、先生がくるまでサトシが練習を始めると、サラがピアノの音に反応し、近づいてきた。

「サラ、ピアノ好きなの？」

サトシが弾き続けると、サラは鍵盤の上に乗っかり、でたらめな音が流れる。

「ピアノ弾きたいの？ピアノはね、難しいんだよ。まだサラには早いよ」

そう言いながらもサラとの二重奏を楽しんだ。
先生のピアノの時間もサラはピアノの上に登り、ずっと動かずにその音色を聴いていた。サトシもその日の練習はやけに楽しかった。それからサラはピアノを弾く度にピアノの上に乗っかりその音色を聴き入るようになっていった。

「ピアノが好きなネコなんて珍しいな」