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「美大の受験は大変だし、俺、デッサン弱えぇしさ、、だから、研究所でデッサン力つけねぇと落ちるって言われた」
研究所って言うのは、田舎のこの辺で、一軒しかない、元どっかの美大教授がやってる絵画教室の事だ。
部の顧問北川の先輩だかなんだかで、OBもそこ行って美大行った奴が何人かいるって聞いてる。
だから、片山さんが行きたいっていうのも分かる。
「それで夜はうちに来ないで、そこに行くというわけですね?」
春に美術部に入部して出会い、そこらの女より女みたいな顔なのに、かなり男らしい性格が可愛くて、好きになった。
押して、押して、押して、押し倒して手に入れた片山さん。
最初はかなり嫌がったけど、最近ではどうも、俺を恋人として認めてくれてい
る。かもしれない。
そんな片山さんが、学校が終わってからうちに来てくれるようになったのは、最近だ。
それも、俺がたのんで、なだめて、脅して、やっと素直に来てくれるようになったと思った矢先だった。
休みの日はそれなりに会ってはくれるが、当然毎週ではない。
俺はそれが不満で、今度はそこを崩そうとも思っていた。
だから、ここが崩しどきかもしれない、計算高いと自他共に認める俺はそう思って策略を練る。
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