小鳥娘

目を開けて…見えたかい？

　
ルｯ
プルルル…ｯ

ｶﾞﾁｬ

もしもしっ

『やぁ、ご機嫌いかがかな？』

待っていたわ。お話ししたかった…

『おや、それは光栄だな。
　どうだい、なにか見ることはできたかな？』

ええ。少し思い出したわ。

『どうだった？』

悲しかった…
だけど、頭にかかっていたﾓﾔが
少し晴れた気がするの。

『受け入れたんだね。』

え？

『受け入れる事ができたんだよ。
　君の恐怖心を一つ。
　しっかりと向き合った証拠だ。』

受け入れた…

『素晴らしい事だよ。』

う…うふふ…なんだか安心した…。

『驚いた。君の笑顔は初めて見たな。』

え…！　恥ずかしい…

『くすくす、赤面も初めてだ。』

私も少し驚いているわ。
こんなに自然に笑えたのは
どれくらいぶりかしら…

『どうだった？自分を見つめてみて
　苦しかったと後悔したかい？』

うんと…
悲しくて、今も胸は痛むけど
不思議ね。後悔はしていないわ。
少しだけ視界がクリアに見えるの。

『上出来だ。
　誰しもが、君のように前向きになれる
　方法ではないんだよ。
　自分と向き合う事は簡単ではないからね。
　だけど君は、よくやった。
　それだけ強い人間だったという事だ。』