籠に入ったのは、自らの足で…?

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  …ルッ プルルルルル… プルルルルル… プルルッ   ガチャ…   …………   『もしもし?乱暴なんだなぁ、君は。』   …   『あーあ。壊れてしまったよ。  これは修理に出さなくちゃ。』   ……   『おーい、ちょっと、これ修理に出しておいてー 』   ………   『さてと、さっきは失礼したね。  癇にさわるような事を言ってしまったかな?』   …………   『困ったなぁ。なにか喋ってはくれないかい?』   あなたは…何処にいるの?   『僕?外だよ。』   ソト…?   『そうだよ。外から。』   そう。   『君も外に来たいかい?』   外は恐いわ…。   『どうして?』   恐い…もう外に出られる自信がないの。   『そうか………おっと  悪いね。キャッチが入った。』   …………………………………   『いやぁ、ごめんごめん。  彼女からだったよー』   …   『おっと、怒ってしまったかな?  もう乱暴はやめておくれよ?』   呆れた…。   『あははは…ごめんごめん。』   まだ…私は人と会話できるのね。   『そりゃそうだよ。君は人間だからね。』   人間は籠の外で生きるものよね…。   『そうだね。羽ばたいてみる気になったかい?』   頭でその気になれても 心が鎖で縛られているの。 心が縛られているから体が動かないわ…   『うーん…難しい問題だ。』   もうずっと、長い間こうやって葛藤しているの。   『思い詰めるのは良くない。少し考えるのをやめてごらん。』   考える事を…やめる …?   『そう。まずは自分を見つめてごらんよ。』   見つめる?   『そうさ。思い詰め過ぎて、君は検討違いな事を考え込んでいるかもしれないよ?』    …。   『焦らなくて大丈夫だよ。さぁ、君自身を見つめて本質を知らなくては。』   本…質…?   『なぜ、君は外を恐れてしまったのか。』   …。   『外のなにが恐いのか。』   ……。   『君の胸の中に答えがあるはずだ。  見えるかい?』   な…ぜ………   『急ぐことはない。ゆっくりでいいんだよ。  今日はこのあたりにしておこう。』   あ…、またお話ししたいわ。   『あぁ。では、また次のベルで…。』   えぇ。また…     カチャン…  
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