73人が本棚に入れています
本棚に追加
15歳のある日、風呂の掃除をしていました。
ふと浴室の鏡に目をやると、何か違和感を感じたのです。
「あれ?目が笑ってる?」
何の可笑しい感情もないのに、目だけが笑っていたのです。
その時は大して気にもせすに、僕は風呂掃除を終えたのでした。
翌日から悪魔に心を乗っ取られるとも知らずに…
朝目覚めると、昨日の出来事はすっかり忘れていました。
食事を済ませ学校に向かいました。
「何だろう?」
再び心に違和感を感じたのです。
「心が、くすぐったい」
今までに感じたことのない感覚。
声を出して笑うほどの可笑しさではなく、ニヤリでもない。
「どうしたんだ!なにが可笑しいんだ!何にも可笑しいことなんかないじゃないか!」
僕は急に得体の知れない恐怖心にさいなまれ、学校へと急いだ。
学校に着くと、トイレに駆け込み鏡を見た。
「笑ってる!目だけが笑ってる!」
どう表現すればいいのか、心には微かに可笑しい感情があり、表情はニヤケてるというのか、目だけが笑ってた。
「どうなってんだ」
僕は顔を見られたくないと、不安な気持ちと共に教室に向かった。
「大輔、遅かったな」親友の浩二が声をかけてきた。
僕はうつむいたままで、彼の顔を見ることができなかった。
「どうした大輔?元気ねえぞ」
僕は思い切って顔を上げた。
「何だよ、元気そうじゃないか。心配させんなよ」
大丈夫…みたいだ、気にしすぎだな。
それでも、心は微かに笑い続けていた。
最初のコメントを投稿しよう!