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「じゃあ、まだ渡してないの?」
少し驚いている瑠華に、私は苦笑いを浮かべる。
「うん…何だか緊張しちゃって。。。
ただ渡すだけなのに、何でだろう。緊張で思わず変な態度取っちゃって…竜也絶対気分悪くしてるよぉ~」
思わず泣きそうな声を出すと、瑠華は困ったように眉をハの字にした。
「そう思うならちゃんと誤解解かなきゃ。竜也、あの様子だと絶対落ち込んでるよ?」
そう言って竜也たちの方に顔を向けた瑠華に続いて私も視線を移すと、机に附せた竜也に、優斗が悪戯っぽく微笑みながら何かを言っていた。
「そう…だよね。。。」
そう呟きながら再び窓の外に体を向け、顔だけを瑠華に向けて微笑む。
「ちゃんと渡すよ。このままじゃ、昼休み瑠華と優斗に気遣わせちゃうしね」
「私たちのことは気にしなくても大丈夫だけど、でも竜也のためにはそれがいいよ」
そう、微笑み返してくれる瑠華に感謝しながら、私は早る心臓の音を必死に抑えようとしていた。
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