475人が本棚に入れています
本棚に追加
―――――
―キーンコーンカーンコーン…―
「昼休みか…」
結局絵梨香と何も話せないまま時間が過ぎ、昼休みを迎えてしまった。
いつも4人で昼食を取っているから、今の状況はかなり気まずい。
どぉすっかなぁ…
そう思いながら昼食を買うために財布がポケットにあることを確認して優斗と席を立とうとすると、教室に瑠華の元気な声が響いた。
「ゆ~うとっ!」
「何?瑠華」
満面の笑みで自分の腕を掴む瑠華に、優斗は優しく微笑みながら頭を撫でる。
「今日は先に屋上行ってよう?」
「わかった。じゃあな、竜也。また後で」
瑠華の申し出をすんなりと受け入れて教室を出ていく優斗を見ながら、俺は心の中でさらに頭を抱える。
今の状態の俺と絵梨香を2人きりにするなよぉ~!!
そんな願いが届くはずもなく、俺の思考は絵梨香の声で一気に現実へと引き戻される。
「竜也」
「な…何?」
思わずしどろもどろになりながら答えた俺に、絵梨香は一瞬悲しそうに顔を附せた。
え…?
けれど、すぐに真っ直ぐに俺を見て、「着いてきて」と言った。
「え?ちょ…」
状況に着いていけていない俺の手を握り、絵梨香は黙々と何処かへ向かって歩いて行く。
最初のコメントを投稿しよう!