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辿り着いたのは、校舎の陰になっている、普段あまり人の通らない裏庭だった。
「絵梨香?こんな所に何かあるのか?」
そう問いかけると、彼女はバッと振り返り、その勢いのまま俺に少し小さめの正方形の箱を差し出した。
「???」
いきなりで何かわからない俺は、その箱と絵梨香を交互に見詰める。
すると、絵梨香は顔を真っ赤に染めて小さく呟いた。
「誕生日…おめでとう」
「…あ~、そっか!!」
この時、俺は今日が自分の誕生日であることを思い出した。
そう言えば、今朝家で母さんたちに"おめでとう"って言われたな…
絵梨香の様子が気になりすぎて、そんなことすっかり忘れてた。。。
そう思いながらも、俺は差し出された箱を受け取る。
「これ…プレゼント?」
そう聞くと、絵梨香は頬を染めたまま少し俯いて小さく頷いた。
「…っ。よかったぁ~」
俺は、ドッと押し寄せてくる安堵感に思わずその場に踞った。
けれど、絵梨香は少し驚いたように目を見開いて俺を見下ろす。
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