第七話 隠忍自重

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夕暮れが織りなす紅の彩りを、撫でる風が音も無く吹き抜ける。 しなやかな髪の香に誘われて、伸ばした鳳珠の指先が、目を瞑るお静の右頬に触れた。   鳳珠「憐れな女よ…」 お静の見栄えは縄の曲線に曝(さら)されて、見れば見るほど美しく、思わず触れたくなるのも頷ける。   耳元から首筋へとなぞられる指… 鳳珠「…」 鳳珠は眩暈(めまい)を憶えた。 鳳珠の淫らな陰(こころ)が目の前に居る女神に心を奪われ、一時の淫慾に暮れ淀(よど)んだ瞳に変わる。   鳳珠(誰も見ておらぬよな…) 鳳珠は周りを気にしながら、唾を飲み込んだ。   鳳珠は女を知らない… 触れていた指先は、静かに首筋から優艶(ゆうえん)そうな胸元へと移ろうとしていた時、お静が目を醒ましたのである。   鳳珠「…!」 鳳珠は慌てて手を引っ込めた! お静「ここは!?一体…」 円らな瞳を少しずつ見開き目を醒ます…   お静「貴方は!?」 お静は手首を動かそうとしたが、己の首を締め付ける違和感が脳を走り、足を動かそうとすれば股ぐらを擦りつけられる不快感を憶えた!   お静「いゃ!どうして!」 お静はこの時、鳳珠の目の前で丸裸のまま緊縛されている事を知った。
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