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夕暮れが織りなす紅の彩りを、撫でる風が音も無く吹き抜ける。
しなやかな髪の香に誘われて、伸ばした鳳珠の指先が、目を瞑るお静の右頬に触れた。
鳳珠「憐れな女よ…」
お静の見栄えは縄の曲線に曝(さら)されて、見れば見るほど美しく、思わず触れたくなるのも頷ける。
耳元から首筋へとなぞられる指…
鳳珠「…」
鳳珠は眩暈(めまい)を憶えた。
鳳珠の淫らな陰(こころ)が目の前に居る女神に心を奪われ、一時の淫慾に暮れ淀(よど)んだ瞳に変わる。
鳳珠(誰も見ておらぬよな…)
鳳珠は周りを気にしながら、唾を飲み込んだ。
鳳珠は女を知らない…
触れていた指先は、静かに首筋から優艶(ゆうえん)そうな胸元へと移ろうとしていた時、お静が目を醒ましたのである。
鳳珠「…!」
鳳珠は慌てて手を引っ込めた!
お静「ここは!?一体…」
円らな瞳を少しずつ見開き目を醒ます…
お静「貴方は!?」
お静は手首を動かそうとしたが、己の首を締め付ける違和感が脳を走り、足を動かそうとすれば股ぐらを擦りつけられる不快感を憶えた!
お静「いゃ!どうして!」
お静はこの時、鳳珠の目の前で丸裸のまま緊縛されている事を知った。
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