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「くの一」とは忍者の隠語で女性のことを指す。女性を仕事のしかけに使用することをくのいちの術と呼んでいた。
しかしながら「くの一」というと現代では、小説や漫画の影響で女忍すなわち忍者の格好をした女性のことを意味する言葉として用いられ、これが多く普及している。
ここで云う「くの一」とは、史実において云われている「歩き巫女」のことを指す。歩き巫女とは各地を回って舞や芸など見せ、時には男に身を任せることもあった、云わば流浪の遊女である。
この時代には孤児や捨て子、迷子などが大量に発生した。
そのために甲賀流忍術の流れを汲む名家がこれを引き取り、心身ともに優れていた美少女だけを隠密として選び抜き、各地に送り込んだのが「くの一」である。
二百から三百人の少女たちに呪術や護身術、忍術や祈祷など、更には相手が男であることも想定し性技まで教え込んだという。
歩き巫女には国境はなく、全国何処にでも自由に行き来できたため、関東から畿内(きない)を回って口寄せや舞を披露したり、時には売春をし、暗殺を行うなどして情報をツナギ役(連絡係)に流していたという…
畿内…都周辺を指す。現代でいう首都圏。
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