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「だいぶ涼しくなってきましたね」
「ん?あぁ、」
「先輩、結婚しないんですか?」
遠慮ない質問だな。
「考えてもみなかったな、お前結婚するのか?」
「あ、はい」
なんだ、そういう前振りだったのか。
「早く言えよ」
ちょっと嬉しくもあるが、うらやましくもある。
佐藤の話を聞きながら、公園の木陰を眺めて、少し思い出に浸ってみた。
明日からの4連休、全く予定がない。
帰り道、先月閉店したブティックの中に、ふと、気が取られた。
このブティックの奥は、そんな広くはなかったはずだ。
あたりは暗くなり始めているのに室内が妙に明るい。
誰も気にとめてもいない。
なにかおかしい。
入り口の近くに寄ると、風が消えた。
車の音が遠くなる。
まるで時間が止まったみたいだ。
建物の入り口は何事もなく開く。
なぜか胸騒ぎがする。
入り口の棚にカバンを置き、奥へ進んでみる。
自分の足音が遠くなる。
へんな気分だ。
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