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翌朝、目が覚めると、彼女はコボルと向き合っていた。
「おはよう、元気になったか?」
「昨日はありがとうございました」
澄み切った声だ。
娘のような年の子にドキッとさせられた。
「パンしかないけど、それでいいか?」
「はい、ありがとうございます」
キッチンでトーストと目玉焼きを作り、彼女に出した。
「おいしい」
彼女は喜んで食べていた。
「どこからきたの?」
「こことは違うところなんです」
どうにも信じがたい。
「言葉だって話せるし、日本人なんだろ?」
「言葉や、この世界のことは、さっきコボルに教えてもらいました」
「さっき?」
「1時間ほど高速言語で教えました」
と、コボルが答えた。
「もう行くのか?」
「どうしていいか、わからないんです」
「2~3日は居てもいいよ」
「本当ですか?」
「どうせ男やもめの一人暮らしだ、」
訪ねてくる恋人もいない。
彼女をゆっくり休ませてあげる事にした。
銀行に行き、カウンターの銀行員を驚かせ、通帳をいくつかに分けさせられた。
いやらしそうな上役の声には耳を貸さず、さっさと退散した。
帰りに彼女の服と食材を買いに行き、部屋の中がどうなっているかと期待して帰った。
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