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「で、ある日他の選手と揉めた時、ラーメン早食い対決をしたことがあるんです。ラーメン三杯を8分で。信じられないでしょ?」
「やだ…」
私は思わず吹き出してしまった。
「あぁ、隼人が言ってた通りだ」
「え…?」
「生前、隼人が言ってたんです。"あいつの笑顔は最高に可愛い。どんなピンチの時でもあいつの笑顔を思い出したら、俺は頑張れる"って」
「やだ…そんなの冗談ですよ」
「本当ですよ。ただ、あいつは…隼人はあなたを守る為にある嘘をついた」
心臓がびくっと動くのがわかった。
「彼が入団して半年を過ぎた頃、ストーカーまがいのファンがついたんです」
私と別れる一ヶ月前…。
「"あの子と別れなかったらあの子を傷つけてやる"って、毎日のように手紙が届いたんです。次第にエスカレートして、あなたの名前や住所、鳥羽で隠し撮りした写真まで送られてきました」
背筋がぞくっと凍りついた。
「隼人は、悩みました。すぐにでもあなたの所へ行ってあなたを守りたい。でもその頃CMにも出だして、何千万単位の仕事をするようになっていた。もちろん抜けたら球団にも迷惑がかかる。それで彼は悩みぬいた末、あなたとの別れを決意したんです」
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