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代理人が犬に別れを告げ、菓子折りのデンマーク製クッキーを置いて車に乗って帰りました。
おいてけぼりを喰らったと察知した犬は、首輪をもがいて外し、とても子犬とは思えないスピードで車を追いかけて行きました。
私は走って、兄は自転車で犬を追跡し、車を見失って途方に暮れている犬を発見しました。
しかしこいつらは俺の主君じゃないと警戒を解かず、ウーッと威嚇して唸っていました。
そして追い詰めて捕獲しようとすると、巧みに車の真下でしかも、車の真ん中に入り込んでしまうので捕まえられません。
手で掴みにいくと、噛み付かれ、車の下に潜り込むと激しく抵抗して散々に噛みつかれました。
家族総出で三方からはやし立て一方だけ開けておき、そこから出て来たところを袋を被せて捕まえました。
やっとの事で取り押さえました。
紐を引っ張ると首が締まるように犬を繋ぎ、ようやく鎮静化させることに成功しました。
家族全員、この犬に振り回され疲労困憊になり、頂いたデンマーク製クッキーをその日のうちに食べ尽くしました。
昭和57年1月28日のことです。
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