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周りの奴らは信用できなかった。
僕とナナリーは日本に人質として暮らしている。
いつ日本人に殺されるかわからなかった。
僕はどうなってもいいけどせめてナナリーだけは幸せになってほしかった。
「ルルーシュ」
後ろを振り向かなくても誰だかすぐにわかった。
そこに立っていたのはスザクだった。
「……………何だよ」
「お前、何で毎回抵抗しないんだよ。逃げるなりなんなりすればいいだろ」
「僕は君みたいな野蛮人じゃないんだよ。第一、逃げたら僕が弱いみたいじゃないか」
みたいじゃなくて弱いじゃないか。そんなに傷まみれで……………。
何でもかんでも一人で抱え込んでルルーシュは辛くはないのだろうか。
「用がないのなら帰るぞ」
スザクは行こうとするルルーシュの腕を掴んだ。
「痛いぞ…………」
スザクはハッと我に返り手を離した。
どうしてルルーシュの腕を掴んだのか自分でもわからなかった。
先に歩いているルルーシュの背中がすごく小さく感じた。
子供なんだから当たり前かもしれないけれどルルーシュだけは違う気がした。
「ただいま、ナナリー」
「お帰りなさい。お兄様」
ナナリーの顔を見ただけで僕はホッとした。
「ナナリー、何か食べたいものあるか?」
「食べたいものですか。お兄様が食べたいものが食べたいです」
にっこりと微笑んだ。
僕の食べたいもの…………。
得に食べたいものはなかった。
次の日、僕は街に向かった。
街に出るのは危険だとわかっていてもナナリーのためなら何でもしてあげたかった。
以前食べれなかった梨を買うことにした。
また頭を下げるのは嫌だがこれもナナリーのためだ。
いきなり車が急スピードで走ってきた。
僕の目の前で止まり、大人の男が数人出て来た。
そいつらはイレブンだった。
一人の男が僕の腕に掴み掛かった。
「離せ!!誰だ。お前ら」
流石に子供の僕では歯が立たなかった。
無理矢理車の中へ押し込まれた。
ロープで手足を縛られ、口をテープで封じられてしまった。
「今回の獲物はレベルが高いよなぁ」
「俺が見付けたんだからな」
どうやらこいつらは僕が皇帝の子供だとは知らないらしい。
着いた場所は森の中にある古びた別荘だった。
周りには人影もなく助けは呼べなかった。
男に担がれて部屋にほうり込まれた。
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