194人が本棚に入れています
本棚に追加
破裂する涙腺が
ずっとつづくのでないならば
私はあなたを忘れれるわ
『暗い部屋の中で、』
バタバタと家に入った瞬間に、靴を乱暴に脱ぎ捨てて階段を掛け上がった。髪の毛が乱れてくのが分かる。でも今は、そんな身振りを気にしてられない。
「おかえ、うわっ!」
話しかけようとするお兄ちゃんを思いきり壁に飛ばして、自分の部屋に入った。
涙は見られただろうか。そんなことはどうでもよくって。明日、どんな顔して会ったらいいかとか、気まずくなったらどうしようとか、そんなこともどうでもよかった。
ただ泣きたかった。
思いっ切り泣いて、死ぬほど泣いて、壊れるぐらいに泣いちゃって。この気持ちを楽にしたかった。なんとなく、フラれることは分かってたのに、実際に言われるのと想像するのとでは違いすぎた。
「ひっ…くっ…」
積もり積もった想いは止まることを知らなかった。ホントはうそ。想像はしていた。けど期待していないといえばうそになってしまう。君の言葉に、君の行動に、少しだけ期待していたんだ。きっと、緩んでいた気持ち。
好き
好き
好き
違う人を見ていることは知っていた。でも、私に向けてくれる笑顔はあまりにも輝いていて。眩しくて。もしかしたら、って思ってた。
「馬鹿だな」と、昔の自分に言いたい。
「ふっ…く…っ」
こんな思いするのは、私だけでいい。こんな苦くて、辛くて悲しくて涙ばっかり出てくるような気持ちなんて。どうか―君はしないでいて。明るい笑顔を、どうか失わないで。お願いだから、私だけにして。
せめて
君の恋は、叶いますように。
ひとり部屋で
そっと呟いた
―end―
最初のコメントを投稿しよう!