不夜城→side妖

3/13
3379人が本棚に入れています
本棚に追加
/351ページ
渋々だが、狐が認めた。 思わずニヤニヤと笑いそうになるのを堪えながら、酒呑童子は言った。 「じゃあ決まり!! 伽羅には事後報告って形で知らせておくぜ。……伽羅!! ちょっと聞いてくれるか?」 未だ妖の世界に行くのが嫌なのか、3人から少し離れた距離に伽羅は居る。 本能が、警鐘を鳴らしているのだろう。 行ってはいけない。 戻れなくなる、と。 「これから先に俺達が偵察する。安全だったら、連れてくね~」 酒呑童子の呑気な言葉に、伽羅は『分かった』と頷く。 これもまた、本能で知ったのだろう。 逃げられない。 行くしかない、と。 「さて……行くぞ」 酒呑童子の金色が輝き、血の色に似た赤毛が逆立つ。 茨木童子は左腕が紅くなり、異常なくらい筋肉質なモノへと変化する。 夜琥は瞬時に悟った。 2人共、本気で乗り込む気だと。 『我だけ、手を抜く訳にはいくまい』 夜琥の金目が光る。 赤狐の頃よりは力が劣る。 だが、鬼に勝てないほど、衰退したワケではない。 『須く見よ。我が力を』 言霊が夜琥に応える。 そして。 夜琥は赤茶色をした妖狐になった。 「う~ん、久々に暴れられる!! スゲー楽しみ」 「左腕の使い方を、新たに開発してみるか」 『グズグズするな。行くぞ』 こうして3人の妖は、常夜の国の扉をくぐり抜けて行った。
/351ページ

最初のコメントを投稿しよう!