壱、きっかけ

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「はぁ…」 文神尭(あやがみ たか)は自分の教室内で深く溜息をついていた。 肩までの黒髪を弄りながら、憂いを漂わせる顔をしている美男子とは、それなりに絵になるかもしれない。 今日は七月の学校最終登校日の放課後。 つまり、明日から夏休みな訳だ、実際。 たいていの学生は喜ぶのだろうが、夏休みの計画をろくにしていない尭にとっては喜ばしくない。 とりあえず宿題を片付けて、と考えていた矢先だった 「尭君♪やっぱりここにいたんだ~」 元気よく少女が入って来た。 薄紫の髪を胸の辺りまで伸ばした、黒服の少女。 水鏡咋夜ウェアー(みずかがみ さくやWeary)という名で、尭の先輩だ
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