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「《ちろ》が遅いから、トンネル開通させちゃったよ」
砂場にシャベルを置きながら、たかちゃんは言った。
私の名前は『くが ちひろ』
たかちゃんは『ちろ』って呼ぶ。
ホントは前歯が抜けた時『ひ』が言えなかったたかちゃん。でも『僕の後ばっかり付いて来て、犬みたいだから《ちろ》だ』と言い、それからちひろは《ちろ》になった。
「すご~いっおっきなトンネル」
目を輝かせ私が言うと
「こんなのすぐ出来たよ」と自慢げに言う。
「今度はもっと大きいの作るから、ちろも手伝え」
「うんっ」
―――ーーーーー
―――ーー
――ーー
この頃の私はたかちゃんのやる事全てが尊敬で、見逃さないように何時も後をくっついていた。
大人になった今思っても、たかちゃんは凄い子供だったなぁ…と尊敬してしまう。
何でも出来て、ちょっと鈍くさい私を何時も助けてくれる。ヒーローみたいな男の子・・・
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