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私は後悔だけを背負い、霞んだ天井、色褪せた草花を眺めながら、残りの日々を過ごす。
大人にならなければ分からない事があるというのは、どうやら本当のことらしい。
死期が迫り、床に伏せている今の私には、昔の自分の行いを思い出し、なんて愚かなのだと、嘲笑うしかやることがない。
そして最近では、環境が違う筈なのに、ひ孫の姿が昔の自分と重なり、心配するのと同時に愚か者だと、笑ってしまうのだ。
そのうち、ひ孫を呼んで昔話をしてやるか。
ある男の愚かな行為が招いた、後悔の日々と行く末の話を。
ただ、今は少し眠いな。
どうせ、予定もない。あったとしても、動けないしな。
この温い空気に包まれながら、一眠りするとしよう――。
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