兄のような人で…

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暁人さんは田舎に今は住んでいるものの仕事の取材で東京に行く事もある。だから帰ってくる時は必ず私にお土産話をしてくれるのだ。 昔からそうだったから私は暁人さんが話してくれる都会のお土産話が大好きだ。 今流行りの流行ファッション、新しく出来たお店。 新作スウィーツや都会でしか食べれないオリジナルの料理。 とにかく色んな不思議な面白い話が暁人さんの口から次々と出てくる。 私はいつも暁人さんの話を聞いて思う。 都会は欲しいものがすぐに手に入り、行きたい所にはすぐに行けて、なんて便利な所なのだろう、と。 一度も行った事のない都会に、私は昔も今も都会という未知の場所に興味を抱いていた。 “都会はまるで宝箱で出来ているみたいだ” と、私は思った。 不自由する田舎と違って不自由がない都会。 だけどもしかしたら都会は都会で不自由している事もあるかもしれない。 それは微々たるものだ。田舎の私にはきっと気付かないだろう、都会人の不満を、不自由さを。 私から見れば都会に住む人は恵まれていると思うから… 田舎は不便な場所だ。得をする事もない。だけど私はそれでもきっとここを離れないだろう。
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