初めてのメール

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「んーっとぉ――」  カチカチ……カチカチ……。 「――こんなもんかな?」  彼女が手に持っている携帯の液晶画面に表示されているのは『takumu-s@bokumo.ne.jp』というメールアドレスのような文字の羅列。  好きな人の名前、イニシャルに、適当な機種名を入れたものだ。 【件名:no title  本文:初めまして!紗英といいますo*'ω'*o適当なメアドにメールしてみました☆よかったら返信ください。】 「そーぉーしんっ!」  ポチッ。  雨宮紗英(あまみやさえ)、中学2年生。  彼女は今、とてつもなく暇だったのである。  鈴城拓夢(すずしろたくむ)、同じく中学2年生。彼は、紗英の犠牲になった"紗英の好きな人"である。  たった1通のメールが、ふたりの運命を変えた――。  
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