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――5分以上経っても携帯が鳴らないということは、少なくともあのアドレスの人がいなくてエラーであるという可能性は無くなった。
もしかしたら本当に鈴城拓夢本人に届いてるかもしれない。
そう考え、紗英はひとり床で悶え転げた。
先月の席替えで偶然拓夢の隣になった時は、特に会話を交わしていない。
その1週間後、教科書を忘れた拓夢と机をくっつけて教科書を使ったのをきっかけに、初めて会話を交わしたのだ。
『ごめん! 教科書忘れちったんだ!読ませてもらえる?』
『うん、いいよ』
『マジで!? サンキュー! 恩に着るー!!』
明るくて可愛い彼の笑顔は、見てるだけで癒される。いつの間にか自然と彼を目で追いかけていた。
ピピピピピ。
「!!」
がばっと起き上がって、音を鳴らした携帯を開く。
「……うふふ」
どんな返事、しようかな。
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