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なんか結局、全て秋山に話してすっきりした。
旅行は秋山が上手く流れた事にするらしい。
帰り道、いつもは並んで歩く西が今日は少し先を行く。
「にーし?怒ってんの?」
「怒ってませんー」
「じゃあ何で並ばないの?」
「………」
駆け足で西に並び、俯く顔を上げさせる。
「ん?どうしたんだよ?」
「…だって恥ずかしいじゃないですか」
「何が」
「俺、すごい立花さん好きだったのバレて。しかも立花さん俺の立場とか世間体気にして、絶対ホントの事言わないし。」
ふいっと交わされ、また背を向けて歩き出す。
「また俺を守ろうとか思ったんですね?」
「そりゃ…そうだろ。俺はいいけどお前が周りからとやかく言われて傷つくのは嫌だから」
西が立ち止まって振り返り、俺をきつく睨む。
「あなたの側に居るのを決めた時から世間体や立場なんてどうでも良くなった」
軽く拳を胸に当てられる。
「そんなの気にしないくらい立花さんが好きです」
痛いくらいに突き刺す眼差し。
泣きそうな瞳で俺を映す。
「ごめんな、西」
全然お前の事、分かってやれてなかった。
こんなに大事に、大切に想ってくれてるのに、
俺はちっとも分かってなかったんだな。
街灯が照らす薄明かりの下で、俺らは熱く抱擁を交わした。
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