第一章

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彼等の視線が僕を捉えた瞬間、彼等は一目散にこちらに向かって走り出した。 逃げなければいけない衝動からか、僕は恐れおののき、飛び上がるようにして立ち上がり、自分の部屋に向かって走る。 僕は後ろを振り返ることが出来ず、慌ててポケットから鍵を取り出すが、手が滑って、鍵は手から落ちた。 落ちた鍵を拾いに戻ろうとするとき、すでに彼等の足が螺旋階段を登って来るのが見えた。 焦りながら、鍵に手を伸ばす。しかし、彼等の足は思った以上に速かった。 鍵を取ったと同時に、その掴んだ手をおもっいきり蹴られた。鍵は僕の手から離れ、壁に当たり、廊下の隅の方まで飛んでいく。 蹴られた手を、もう片方の手で押さえ、痛みを堪えながら、彼等を見上げた。 土木関係に勤めているのか、横に幅があり、がっちりした体つきで、作業服を来た髭面の男と、それとは反対に痩身でずる賢さが滲み出た顔立ち、狐みたいな鋭い目つきを持った若い男が僕を見下ろしていた。 「ガキか」 狐がガッカリした様子で言う。 「お前いつ来た?」 土木の男が尋ねた。 「僕は……今日……気付けばここにいました」 未だに蹴られたせいか、体全身震えが止まらない。正直恐かった。殺されるかもしれない場面に立ち合っているのだから。 「話になんねぇな。ってことは全部屋入室完了ってわけだな」 狐が土木の男に向かってなにやら話している。こいつらは犯人ではなさそうな印象を受けた。何故なら、僕の発言に対して残念さを顔に滲ませたからである。
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