神隠し

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「勝~って嬉しい♪はないちもんめ♪」 「負け~て悔しい♪はないちもんめ♪」 「あら、懐かしい。」 「椿(つばき)先生!!」 「先生もやる?」 クラスの女子達が懐かしい遊びをしている。 私が子供の頃、良く遊んだ遊びだ。 「そうねぇ…まだ休憩中だから皆と一緒に先生も遊ぼうかな♪」 私の言葉に皆が喜ぶ。 私、若葉椿は田村川小学校3年1組の担任をしている。 歳は29。 後1年で大台(汗) 「じゃぁ先生は、美紀ちゃんと私の間ね。」 笑顔で私を誘導する、この子は愛ちゃん。 母子家庭の一人っ子。 そのせいか、私の事を先生以上に思っているみたい。 「先生、負けちゃダメだからねー。 美紀達、今度負けたら三人になっちゃうんだから~。」 「はいはい、頑張ろうね。」 ━━━━━━━━━━━━━ クラスの女子と"はないちもんめ"をしてから一週間。 あの子達と遊んでから昔住んでいた滝山村の事が気になり、私は車を走らせた。 「何これ…?」 村についた私の目に映った光景は、24年前とは全く違う物。 簡単に言えば、荒れ地。 草木が一本も無く、半壊した家が並ぶ。 「酷い…。」 私は昔住んでいた自分の家を探す。 全壊した家の隣りに半壊した私の家。
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