気まぐれのプレゼント

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「沢山あってわからないな…」 偶然だった。 音楽コーナーで和史を見かけたのは。 学校帰りに寄ったのだろう。しかし和史が音楽コーナーにいる事自体驚いていた。 「アイツ、音楽に興味あるのか?」 好奇心からだった。 アイツが何をそんなに真剣に探しているのか、気になった。 和寿の足は和史の方へ向かう。 「…そんなに真剣に探して何を探してる」 「えっとクラシックの……って兄さん!」 すっとんきょんな声を上げ、和史は赤面させる。 「失礼だな。人をどこかの化け物みたいに」 「ご、ごめんなさい。まさか兄さんがいるとは思わなくてびっくりしちゃって」 「それで?何を探しているんだ」 「えっと…」 途端口をもごもごさせる。 ハッキリしない奴だ。 「言えないようなヤバイCDなのか?」 「そんなんじゃないよ!クラシックのっ」 「クラシック?」 これまた和史に合わない組み合わせが出てきた。 「クラシックの……なんとかって曲」 「なんとかとはなんだ?」 「それがわからないんだよ。作曲者もわからないし題名もわからないし」 「馬鹿だな」 「う…」 作曲者も題名もわからず曲だけ知っているなら一生探し物は見つからない。 「本当に題名も覚えてないのか」 「えっと…パピエだったかパピコだったかそんな名前」 「そんな名の曲はない」 溜め息が出る。好奇心とは言え会話するだけで疲れる。近づくんじゃなかった。
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