憎悪のきっかけ

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憎悪のきっかけはなんだったんだろう。 多分この家にいた時から憎悪だった。 両親から貰ったのは温かいもの。 それなのに居心地が悪くて、安心しない。 しかしその理由がわかった。 小学校に入ったばかりのある日、父と母の寝室で古びた日記をみつけた。 そこで和寿は知ったのだ。 自分は捨て子だったという事に。 中々子宝に恵まれなかった母は家の近くで捨て子を発見したそうだ。 まるで捨て犬のように箱に入ったまま放置され、生命もやばかったらしい。 捨て子だったとはいえ欲しかった子供を手に入れた母は天からの授けだという程感謝したそうだ。 そして母と父は沢山の愛情を和寿に注いだ。 しかし和寿本人は幼い頃からここは自分の居場所じゃないという気持ちがあった。しかし沢山の愛情を注いでくれた両親にそんな事を気付かせない為に和寿は二人の子供を演じた。 彼らに応えるように立派な人間になるように勉学に力を入れた。おかげで学校では常にトップの成績だった。 父と母はそんな息子を誇りに思っただろう。 しかし彼らは本当の両親じゃない。赤の他人だ。 そんな時、子宝に恵まれなかった母が父との間に子が授かった事をしる。 父と母は物凄く喜んだ。 しかしその事で和寿の居場所はますますなくなってしまった。 ますます独りになった。 孤独と感じるようになった。 だって自分は父と母の本当の子ではない捨て子。 しかし母親の腹には父と母の血の繋いだ子供が宿っている。 全ての愛情がその子供に注がれる。 憎まずにはいられなかった。
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