憎悪のきっかけ

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子に罪はない。それでも憎まずにはいられない。強い憎悪と強い嫉妬、強い殺意。 黒くドロドロとした醜い感情が常に和寿に溢れていた。 そんな事も知らずにすくすく元気に育っていった和史。 何故か和史は和寿に懐いている。 いつも無視をしても泣く事も怒る事もなく後ろをテクテクと歩いてくっついてくる。 一度和寿は言った事がある。 『何故ついてくる』 『お兄ちゃんと遊びたいから!』 『俺は忙しい』 『じゃあその忙しいのが終わったら』 にこにこした顔で言ってくる。 その眼差しと表情にイライラした。 『俺はお前とは遊ばない』 『えっ!?』 『ガキと遊ぶ程暇じゃないんだ』 そう言って突き放すのに懲りずにまたついてくる。 その繰り返し。 毎日毎日繰り返された… 『母と父から愛情は与えられても、俺はお前に愛情なんて与えるつもりはない…』 いつからか、和寿は弟に激しい憎悪を抱いていた… .
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