憎い存在

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言葉が出なかった。 和史はそれだけを報告するとあっさり部屋から出ていった。 暫く沈黙が続く。 しかし沈黙はすぐに破られた。 「は…はは。じゃあ何か?俺がアイツの点数を上げた手助けをしたって言うのか?」 拳が小刻みに震える。 「何が有難うだ。何が誇りに思ってるだ。俺はお前みたいな弟いらないんだよっ!!??」 ガシャガシャガッシャーン 机の上に置いていた本やノートパソコン、明日大学に提出するレポートを床に振り落とす。 「くそっ…くそくそっくそ!!」 憎い。弟が憎い。 笑った顔が、アイツの仕草が、行動が、言葉が何もかも……憎い… .
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