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「……最悪、だ……んのくそ親父ぃ~」
恨みの言葉を小さく呟く。
「風もうぜー!さっさと止めよ!部屋片付けんの俺なんだからなっ!!」
そして風にも恨みを言った。風に恨み事を言っても止まってくれるわけないのに…
そんな事を思った時だった。
ぴたりと。
まるで俺の言葉に応えるように、風は不思議とぴたりと止んだ。
「や…止んだ」
「本当。凄いや、望いつから風を操れるようになったんだい?」
「操ってねーよ」
「でも望の言葉に風止まった。凄いや」
「偶然だ。と、とにかく俺はこのぐじゃぐじゃな部屋を片付けなきゃいけないから、お前はその本持ってさっさと帰れ」
「俺も手伝うよ」
「いい。いいからさっさとそれ持って帰ってくれ」
半ば追い出す形で俺は聡司を部屋から出した。
本当は手伝って欲しかった。
しかし聡司の手にはあの本がある。
また何か突然風なんか出てきたらたまったもんじゃない。
そんな事は有り得ないと思いながらも、ついついそんな事を考えてしまう。
「さてと、部屋片付けるか」
くるりとドアを背に振り向くと、俺は目の前に映るものに目を見開いた。
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