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「零也テメェよくも顔が変形するまで殴りやがったな!?」
「いいじゃないか。もう治ってるんだし。ってかどんな回復力だよ」
「頑丈だからな!あと元々新陳代謝は良かった」
「そういう問題か…?」
「……さぁ?」
自分のことなのに曖昧に返事をする叶多。
いや、わざとなのかもしれない。
まぁどうでもいいかと零也も曖昧に返事を返す。
だが叶多にはそれが腑に落ちないらしい。
「……何も…聞かないんだな…」
「聞いて欲しいなら聞いてやるが?」
「なんか狡いなその答え。…まぁ良いか。…………、…髪…邪魔だな…」
自嘲ぎみにポツリと呟くと髪を掴み直した。
現在零也と叶多は、先程零也が野宿場所と決めた川辺へと向かっていた。
零也の荷物の大半はそこに置いてあるし、なにより叶多が水浴びをしたいと言ったからだ。
髪はその場で切り落としてもよかったのだが、なんとなく気分的に嫌だったらしい。
本人曰く『ホラーっぽいじゃないか』らしい。
そんなわけで現在2m近いそれこそホラーな長さの髪を引きずり歩いている。
「絶対野宿場所についたらバッサリ切り落としてやる!」
「髪延びるのが早い奴はエロいらしいぞ」
「エロくねぇよ!」
「あと禿げるのが早いらしい」
「禿げねぇよ!!」
「いや普通に分からねぇだろ…」
「禿げない!」
何を根拠に…
そう思ったがただの負け惜しみに違いないのだ。
それに叶多が禿げようが禿げまいが零也には関係ない。
ぶっちゃけどうでもよかったので、はいはい、と適当に相槌をするのだった。
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