俺を呼ぶ声

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「…おやぁ?」 川辺についての零也の第一声。 叶多は首をかしげた。 「どうした?」 「たぶんそうなるだろうとは思ってたが…案の定荷物がなくなってる」 「ブッ!!たたたた大変じゃねぇか!!」 「まぁ必要最低限の者は持ってるし」 「って『石』と剣だけじゃねぇか!」 「『石』を取られるのは痛ぇけど『石』さえあれば換金出来るし。必要ならそれで買えばいいさ」 「どんだけVIP思考なんだよお前は…!!待ってろ、俺が取ってきてやる!」 「は?どうやって…」 「零也以外の匂いたどればいいんだろ?…コッチだ!」 叶多はそういうなり髪を切り落として駆け出した。 『あ、髪燃やしといてくれよ!すぐ戻ってくるから!』 一度足を止め振り返り、遠くでそう叫ぶと再び森の中へと入って行った。 「…匂いたどれば、って……犬かあいつは…」 言ってしまったと思う。 奴は犬の耳と尻尾を持っている。 それ以外は人間っぽいが、嗅覚もどうやら犬並みらしい。 話したいならば話せばいいみたいなことを言ったものの、実のところは色々聞いてみたかった。 あんなツッコミ要素満載の姿をしている奴にツッコまずに何をしろと言うのだ。 人型の魔物かと始め思ったがどうやら違うらしい。 始めは全うな人間の姿をしていたらしいが… 叶多が残していった髪を1本手にとってみる。 どのくらいの間あそこにいたかは不明だが、それにしてもこの髪の長さは異常だ。 女性でも10年くらいはかるくかかりそうな長さだ。 仮に10年あそこにいたとしよう。 「……臭っ」
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