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「お前、なんで岩ん中にいるんだよ」
『見てわかんねぇのかよ!』
「わかんねぇから聞いてんだろ。ってか見えねぇよ」
『あ、そりゃそうか』
「…………。」
なるほど、なんて言葉まで聞こえてきた。
頭痛い…
『おい?急に黙ってどうした?』
「お前…」
『……?』
「脳ミソ真珠か?」
『え…えぇ?なんだよ、いきなりお世辞言っても何も出ねぇぞ?』
見なくても分かる。
中で本気でデレデレ照れてる。
「…やっぱり馬鹿か…」
『あ゙?』
脳ミソ真珠=綺麗な球体=シワがない=馬鹿
『…………テ…テメェェェエエエ!!今すぐ出てこい!ブン殴ってやる!!』
「出るのはソッチだろ」
『じゃぁ出せ!今すぐ出せ!!ぶん殴ってやらぁぁぁ!!』
「……ほーぅ?」
『……?な、なんだよ…』
急に声のトーンが変わった零也に岩の内部からいぶかしげな声が聞こえてきた。
どうやら姿を見なくても零也が何かたくらんでいるのを察知したらしい。
「お前…それが人にものを頼む態度か?」
『ぐ…っ……』
「それに殴るのはこの俺だ。お前はタコ殴りの刑」
『な…っ!何でじゃー!!』
岩の内部からジャラジャラと音が聞こえてくる。
どうやら中で暴れているらしい。
それにしてもこの音…中で繋がれているのか?
ということは中にははやり空間がり、そこに閉じ込められているらしい。
だがどうやって中にこいつを入れたのだろうか。
見たところ岩壁に切れ目などない。
零也の疑問を感じ取ったのか内部から声が聞こえてきた。
『魔法だよ魔法。あんた幻覚を見せられてるんだ。幻覚っつっても触れるし殴れば痛い。より本物に近い幻覚だ』
「ふーん」
『なぁ…頼むから出してくれよ…』
「つっても俺、魔法使えないし?どうやって解くのかわかんねぇ」
『チッ…役に立たねぇ…(ポソッ)』
「うん?」
『あーーー!!!ウソウソ!ごめんなさい!!出してください!!!お願いします!!』
本当に分かりやすいというか、からかいがいのあるというかなんというか…
必死になっている様がおかしくて零也は笑いをこらえるのに必死だった。
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