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ギィャァァァアアア!!!
「…………。」
短剣を突き刺した途端悲鳴があがり、零也は思わず動きを止めた。
手には土の中にいる得体の知れない何かを思い切り突き刺した感触が残っている。
『……どうした?』
「どうしたもこうしたも、悲鳴が上がったぞ」
『…………いや、問題はない…はず。そのまま掘り起こしてくれ』
「本当に何でもないんだろうな」
『あぁ…多分…』
「…………」
叶多の言葉を信じ、そのまま掘り起こすと…
「…………。」
なんかくったりした人面カブみたいなのが出てきた。
思わずマジマジといった感じで見ていると…
ぱちっ
目があった。
「気持ち悪っ…………次。」
ポイッと放ると次の箇所に取りかかる。
ギィャァァァアアア!!!
イヤァァァアアア!!!
ヤメテェェェエエエ!!!
「…………。」
なぜだろうか。
土いじりをしているだけなのにこの阿鼻叫喚。
しかも引き抜けばみんなくったりしている。
最後の一個(もはや箇所ではない)に手をかけようとしたところで叶多が何かを思い出したか声をあげた。
『なぁ、今時間ってどのくらいだ?昼か?夜か?』
「夜だ」
『日が沈んでからどれくらいたつ?』
「俺がここに着いたときには完全に沈んでたな…大体半刻ってとこじゃないか?」
『そうか…サンキュ。……、……だ…………い……ぶ…か…』
「あ?何だって?」
『何でもねぇよ、気にすんな』
「ふん。…次で最後の一個だから大人しく待ってろ」
『あぁ。…………あ』
「……今度はなんだ」
『いや……、…あんた、俺の姿見て驚くなよ?…いや、驚いてもいいんだけどさ…ジャラジャラウザいの解いてからにしてくれよ?』
「そんなのは見てみないとなんとも言えんな」
そう言いながら最後の一個に手をかけた。
ヴォォオギャァァァァアアア!!!
ひときわ野太い悲鳴と共に最後のひとつを引き抜く。
声の割にはひょろっこく、そしてやっぱりくったりしているモノを放ると目の前に変化が徐々に現れる。
岩壁の一部がボロボロと崩れ落ちていく。
岩だと思っていたがどうやら土であったらしい。
崩れ落ちたそれらはみるみるうちに細かくなり、最後さらさらと風に飛ばされ消えていった。
そうして現れたのは思っていたよりも広めな空洞だった。
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