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八月上旬、輝く太陽の眩しい光が、アスファルトを、人を、車を見下ろしながら激しく照りつけている。
気温30度を超える真夏日。
学生達はだるそうにしながら、学校の門を通り抜けていた。
その中で唯一元気な男が一人いた。
―加賀大貴
そしてその横で涼しそうに、無表情に加賀の話を黙ってきいている男は咲良誠だった。
大貴と誠は小学校からの親友だ。
今大貴は進路の事で誠に愚痴っている所だ。
「んで親父がさ煩いんだよ……“お前はもう三年だろ。進路はどうするんだ。このまま就職か?大学か?お願いだからニートだけはやめろ”てな」
「親父さん、大貴を心配しているんだよ」
「わかってっけどよ。まだわかんねーじゃん先の事なんか」
「いや、もう一年の半分は過ぎてると思うけど」
大きな溜め息を吐く大貴に誠は軽く肩を叩いた。
「大丈夫だ、大貴はなんだかんだで今までやり通してきたんだから、だから今回も大丈夫」
「んな簡単に……、てかお前も進路決まってねーのになんでそんなに冷静なんだ?」
「?冷静…か。これでも焦ってるんだけど」
「焦ってんのか!?…まぁお前は昔から感情を表に出さない奴だったからな」
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