それは突然だった

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「誠!俺はついにやったぜ」 「?何を」 どこか興奮させる勢いで大貴は誠の肩に思い切り腕を回してきた。 「彼女だよ彼女!クラスで荻野って女いるだろ?あの子に突然告白されてさ~」 「………」 覚悟はしていた。 大貴は明るく皆に慕われ、老若男女に好かれる男だ。 今まで彼女がいない事自体おかしかった。 「……良かったな。おめでとう」 「おう!サンキューな!」 心の底から嬉しそうな大貴に、誠は胸を痛めた。 「じゃあこれからは彼女と一緒にいる時間を沢山作らなきゃな」 「そうだな」 「………」 小刻みに拳が震える。 大貴に気付かれていないだろうか。 自分がかなり動揺している事に… 「そ…それじゃ今日から彼女と一緒に帰るんだよな。…なんか寂しいな」 「?何言ってんだ誠?行きも帰りも今までと変わらねーぞ」 「え……」 さらりと言われ、思わず間抜けな反応をする。 言葉が詰まった… 誠の反応に大貴も驚いた。 「なんだよ。なんでんな驚いた顔してるんだ?」 「驚く、だろ。普通彼女が出来たら友達より少しは彼女と一緒に過ごす方を優先するだろ?彼女だってお前と長く過ごしたい筈だ」 「は?お前マジで言ってんのか」 びくんと躯が揺れる。その時の大貴の顔が怖かったからだ。 普段あまり見せる顔じゃない怖い顔。
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