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魔法の世界のある街の路地裏で。
雨が地面を打ち付けてる中、
その少年は立っていた。
何故か全く雨に濡れてない、
黒い翼が背に描かれた
白いレインコートを着ている。
フードからはみ出す髪は、
雨雲の合間から見える青空、
静かに波打つ海の様に、
静かなものを想像させる
澄みきった青色をしていた。
だが、路地裏のアスファルト一面を
支配する水溜まりは真っ赤だ。
雨が赤いのではない。
アスファルトに横たわる無数の死体から
止めどなく流れ出ている血が、
その色にアスファルトを染めているのだ。
その時、その瞬間。
無数の死体を見下ろす
少年の灰色の瞳には、
確かに世界は汚ならしい
その姿をさらけ出していた。
これは、少年がある魔法学園に
入学する約3年前の事だ。
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