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食パン2枚をのんびりと平らげると、
クリーム色のカーデとワイシャツと言う
正装とは駆け離れた服装に着替えた
光輝は、自宅を後にした。
ビニール傘を片手にのどかな住宅街を
ギア2の自転車で駆け抜ける。
イヤホンから流れるお気に入りの洋楽が
ズンズン、とノリがいい。
音楽は好きだが歌詞とかは重要視せず、
曲調やテンポ、ノリを重んじる。
光輝は音楽の聞き方もルーズな人間だ。
住宅街を横切って栄えた通りに曲がり、
駅前のテキトーな場所に自転車を停めた。
目前には駐禁の看板。そこはスルーだ。
駅で電車に乗り、揺れる事20分。
2駅目で降りると、後は徒歩だ。
高いビル、高い人口、高い女性のレベル。
電車から足を下ろしたのはいわゆる都会。
歩き始めて約5分後、
名門、クロウリー魔法学園の門に
光輝はやっと足を踏み入れた。
未だに光輝の耳元ではハイテンポな歌が
ガンガンと脳を刺激しっぱなしだが、
視線は学園の外観に釘付けだった。
門は城門、校舎は宮殿、庭は花畑、
庭に切り開かれた道は北欧の町の路地……
近代都市の中にあるにはかなり場違い、と
感じさせる程、豪華な外観だ。
「スゲ……ぇけど、校舎の後ろに
高層ビルが見えちゃって台無しだな。」
この外観に光輝は、思わず一人言を呟く。
とりあえず、校舎前に移動した光輝は、
ある看板を目にする。
『遅刻者は各自、学園長室に移動し、
指示を待て。』
光輝は面倒臭そうに顔をしかめながらも、
玄関から校舎内へ、学園長室を目指した。
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