↓ 入学と依頼状 ↓

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学園長室。 「さて、これで新入生は最後ですかね?」 名簿に遅刻の文字をひとつ刻んで 銀縁メガネの男、教頭は堅苦しい椅子に 腰掛けた老人、学園長に言った。 「いや……まだ1人いる筈ですよ。」 毛のない頭を撫でて学園長は 優しい口調で呟く様に言った。 「まだですか? その生徒を含めて遅刻者が…… 5人、その内新入生が3人!? クロウリー学園を舐めてる!」 教頭はこめかみに青筋を浮かべ、 1学年の出席簿を机に叩きつけた。 名門校にも遅刻魔はなかなかいるらしい。 「ふ、今年は面白くなりそうだ…… 何しろあの“雨天の天使”が 入学する訳だからね。」 学園長はにやにやしながらこっそりと、 教頭に聞こえないくらいの音量で呟いた。 「失礼しま~す。」 そんな時、片方は険悪で片方はのほほん、 と言った空気の中に呑気な空気が加わる。
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