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「貴方が最後ですね。」
教頭は光輝の前に詰め寄った。
教頭の顔に影がさす。
「9時20分……入学式もとうに終了、
40分の遅刻でしたが、何か言う事は?」
教頭は怒りを押さえつけるが、
声は少し震えていた。
「あー……しゃあせーん。
……で、何すればいいの?」
学園長室の中央でだらしなく、
片足重心で立つ光輝はダルそうに言った。
その口調に教頭は握りこぶしを作った。
「貴方、新入生の割に態度がでかいな、
学園長の前では口を慎み……」
「教頭先生、少し外してくれますかな?」
学園長の一言で、教頭の説教は遮られる。
「?……分かりました。
君、くれぐれも学園長に
失礼のないようになっ……!」
最後に小声で光輝に怒鳴ると、
教頭はさっと踵を返し、
学園長室から立ち去った。
「……相変わらず、
時間にはルーズなんだな。
まぁ、教頭も頭が固いがね。」
「頭固いだけならいいけどさぁ、
生徒に向かって露骨に殺気を
当てるのはさすがにどうかと思うよ?」
突然、空気が軽くなったと思うと、
互いの口調も軽くなっていた。
「いや~ダグラスのじいさんも
名門学園の学園長様か……
大出世じゃないですか。」
「皮肉るねえ……君だって少し前までは
ランクRだったのに今じゃランクAの
“雨天の天使”様、急成長じゃないか。」
意地悪そうにやける光輝に、
学園長ダグラス=アルグラドは
顔をしかめてみせた。
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