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光輝は『1ー6』の教室を見つけると、
躊躇うこともなく扉を開けた。
わ……視線、痛っ。
一斉に振りかかる数多の視線。
もう少し慎重に扉を引けばよかったと、
光輝は反省した。
「お、来たか。まぁそこら辺座っとけ。」
担任と思われる男の言葉で、
ようやく生徒らの視線が教壇に戻る。
光輝は一安心して、とりあえず空いていた
一番後ろの窓際の席に腰掛けた。
「初日から遅刻か?」
すると、隣に座る笑顔の似合う様な
陽気な雰囲気の男子が話しかけてきた。
「あぁ、寝坊。常習犯だからよろしく。」
それに光輝は淡々とした口調で返す。
「マジ?実は俺も!よろしく!」
光輝が自分と同じ境遇だと知った
男子は嬉しそうに言った。
少し馴れ馴れしい態度の男だが、
同時に親しみやすそうだと思った。
「お前、名前は?」
「前園 光輝。」
「あれ、目ん玉の色素が薄いけど、
ハーフとかじゃねえの?」
光輝の名前を聞いた男子は首を傾げ、
下から覗き込む様に光輝の目を見た。
「あぁ、違う違う、バリバリ日本人。
勉強のし過ぎてドライアイなだけ。」
「初対面で知らんけど、絶対嘘だろ!?
ノープランな嘘つくな!」
「おお、全力なツッコみ……お前は?」
指差す手に力を込め、ツッコむ男子に、
光輝はうろたえながら同じ質問を返した。
「俺の名前か?俺は土浦 隼人 (ツチウラ ハヤト)、
ちなみにクラスAだずぇい!?」
赤くツンツンな髪、強気な黒い瞳の男子、
隼人は鼻息を吹いて得意気に言った。
「クラス……?」
「位の事だよ。
それによって寮の豪華さとか、
学費の高さに影響が出るんだ。
光輝の位はなんだ?」
「俺?俺は確か……特待生だっけ。」
「……へ?」
隼人の口から間抜けな声が漏れる。
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