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毎日のように、暗くなるまで遊んだ幼少時代と比べると、君は随分大人びた。
そんな君と向き合うことが何だか気恥ずかしくて、つい言葉が荒っぽくなる。
そしていつも「くそ、また失敗した」と、胸の内で舌打ちするんだ。
でもそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、君……『花奈』は、軽く息を吐いてから続けた。
「もう……彼女、来てるよ」
教室の入り口に目を向けると、一人の女の子がドアに手をかけ立っていた。
茶色くてふわふわの髪を、花のモチーフが付いたピンで止め、頬を薄紅に染める俺の『カノジョ』だった。
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